2020.04.05
第75回 春の院展(日本橋三越本店)にて「第11回春の足立美術館賞」の選考を行い、
川﨑麻央(かわさき まお)氏の「国来、国来(くにこ、くにこ)」を選出しました。
「春の足立美術館賞」は、当館が2005年(平成17)より、公益財団法人日本美術院が主催する「春の院展」に創設したものです。当館ではこれに先立つ1995年(平成7)より、日本美術の発展と将来性のある日本画家の育成に寄与すべく、日本美術院展覧会(院展)に「足立美術館賞」を設けています。「春の足立美術館賞」は、それを発展する形で設けたものです。
受賞作は、全国各地での巡回展が終了した後、2021年(令和3)3月頃に当館に収蔵される予定です。
【作者コメント】
「国来、国来」は、『出雲国風土記』、国引き神話に登場する神様(八束水臣津野命)を描いています。
数年前より、地元島根の石見神楽を主に取材し、神々を表わす色、喜びや怒りの動き、空間を震わす
太鼓の振動に魅せられ、没頭し描いてきましたが、次第に神話自体にも自然と興味が湧いていき、
さらには神話を創り出だす人間の内観そのものに、神聖なものの存在を感じるようになっていきました。
本作品も、様々な人から国引き神話を聞くなかで、私の内に、荒れ狂う河川の氾濫を龍のような綱に見立て、
それを鎮める神様のイメージが湧き上がりました。
今後も、正解のない世界に没入して、自分の全身で感得したイメージを思い切り体現していきたいと思います。
(川﨑 麻央)
〇足立美術館賞の歴代受賞作はこちらをご覧ください。
https://adachi-museum.or.jp/award
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